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鉄道開業150周年の日に新橋から桜木町まで電車に乗ってみた

2022年10月14日をもって日本の鉄道は開業からちょうど150年となりました。
当時の開業区間を走る電車に乗って、私なりのこの日の記念にしようと思いました。

150年前に開業したのは新橋駅から横浜駅までの区間です。

「乗換案内」アプリより 新橋~横浜

ただし新橋駅も横浜駅も、現在の新橋駅と横浜駅ではありません。
150年前の新橋駅は、現在の新橋駅から東に300mほど行ったところにありました。
1914年に烏森という駅が新橋に改称して、現在の新橋駅が誕生しています。
つまり現在の新橋駅は2代目ということになります。
この時、初代新橋駅は汐留駅(現存する都営地下鉄・ゆりかもめの汐留駅とは無関係)に
改称して貨物専用の駅になりました。
貨物専用駅としても国鉄(JRの前身)の終焉を5か月後に控えた1986年10月31日を最後に廃止されています。
そういうわけで日本初の始発駅は、残念ながら現在の鉄道網からは消えてしまっています。

一方150年前に開業した横浜駅は現在の桜木町駅になります。
1872年に開業した初代横浜駅は
1915年に現在の横浜市営地下鉄の高島町駅辺りに開業した2代目の横浜駅にその名を譲って、桜木町駅と改称されました。
2代目横浜駅の駅舎は1923年の関東大震災によって倒壊してしまい、(初代横浜駅である)桜木町駅の駅舎も焼失しています。
横浜駅は1928年に更に移転しており、これが現在の3代目横浜駅になります
(2代目横浜駅は、3代目横浜駅の構内設備の扱いでしばらく残ったものの、1930年に完全に廃止)。

さて、鉄道開業から150周年という記念すべき日に、
私は当時の新橋~横浜になるべく近い区間、
つまり現在の新橋から桜木町までの電車に乗りたいと考えました。
私は既に30代後半なので、50年後の開業200周年を元気な体で迎えられる可能性は高くありません。
なおさら150周年の日を悔いなく過ごさねば、と思いました。

というわけで10月14日の朝、私は新橋駅に向かいました。
東京メトロ銀座線の新橋駅で電車を降りたら、まずは初代新橋駅のあった場所へ向かいます。

初代新橋駅(復元)

初代新橋駅→汐留駅のあった区画は再開発されていますけれども、高層ビル群の中に初代新橋駅の駅舎が建っています。
ただし当時の建物というわけではなくて復元されたものです。
この建物の中は旧新橋停車場鉄道歴史展示室となっています。

0哩(マイル)標識
プラットホーム

駅舎の裏にはプラットホームと線路も復元されています。
0哩標識というのは、ここが線路の始まりだということを表すものですけれども、
日本初の鉄道の始点ですから、日本の鉄道そのものの発祥を示す特別な0哩標識と言ってよいでしょう。

駅舎の中の展示室では鉄道開業150周年にちなんだ特別展が行われていました。
私が行ったのは開館10分前、9時50分頃でしたけれども
さすがは一大記念日と言うべきか、開館前に既に私の他にもここに来ていた人が複数人いました。

特別展はじっくり見ていきたかったのですけれども駆け足で。
この日私が一番したかったことは、日本初の鉄道の開業区間にちなんで新橋から桜木町まで電車に乗ることです。
この2駅間を1本の電車で移動するには新橋から京浜東北線に乗るしかありませんけれども、
京浜東北線の電車は10:32新橋発の電車を最後に、快速運転に移行して新橋に停車しなくなります(各駅停車の運転再開は15:47発)。
急ぎます!

しかし急ぎながらも、現在の2代目新橋駅の写真も何点か。

2代目新橋駅
SLの動輪と鉄道唱歌の碑
SL広場
駅名標?

先ほど記した通り現在の新橋駅は2代目で、150年前の鉄道開業と直接の関係はありません。
しかし初代新橋駅の役割を受け継いだ駅なので、鉄道開業にちなんだ物がいろいろあります。
ちなみにテレビのニュース番組などで有名なSL広場で保存されているC11形蒸気機関車は、
ちょうど50年前の1972年に設置された物ですけれども、
姫路から運ばれてきた物で、実は新橋駅辺りを走った実績はないそうです。
SL広場では150年記念のフェスタが開かれるそうで、既にいろいろな企業のテントが並んでいましたけれども
もちろんじっくりフェスタを楽しんでいく時間はありません!

さあ、新橋駅から京浜東北線の電車に乗って出発です。
150年前の汽車は新橋駅を出たら次は品川駅に停車しました。

写真でも常磐線の特急が止まっていますけれども、
将来は中央リニア新幹線の始発駅になって今後ますます存在感を増していくであろう駅、
それが品川駅です。

途中の大森駅から南に500mほど行ったところには入新井西公園という公園があります。
線路沿いにある上に、C57形蒸気機関車が静態保存されています。
毎日12時と15時には機関車の車輪が回ります。
鉄道好きな子供にはおすすめの公園です。

また、蒲田駅から南に1kmほど行ったところには西六郷公園、通称タイヤ公園があります。
こちらは公園自体に鉄道要素はありませんけれども、線路沿いにあるのでやはりおすすめです。
私も長女が3歳だった頃に2回連れてきています。

西六郷公園(タイヤ公園)

150年前の汽車の次の停車駅は、神奈川県に入って川崎駅。

その次は鶴見駅に止まっていました。

その次は神奈川駅という駅に停車していました。
この神奈川駅というのは現存する京急電鉄の神奈川駅とは全く関係がありません。
現在の横浜駅から約1km北にあったそうです。
1928年に現在の(3代目)横浜駅が開業した際に、
1kmしか離れていない場所にあった神奈川駅は廃止されたとのことです。

そして私の乗った電車は初代横浜駅こと桜木町駅に到着しました。

150年前の汽車は新橋(初代)からを出てから途中、
品川、川崎、鶴見、神奈川の4駅に停車して横浜(初代)までを53分で結んだそうです。
それまでは徒歩で10時間かけて移動するのが当たり前だったのが
わずか1時間弱で移動できるようになったのです。
この鉄道という交通機関が人々にどれほどのインパクトを与えたかは、説明するまでもないでしょう。

ちなみに私が乗った京浜東北・根岸線の電車は、
新橋(2代目)を出てから途中12駅に停車して、桜木町まで41分で走ってしまいました。
新橋から横浜までは東海道線を利用して横浜で根岸線に乗り換えるならば
新橋から桜木町までをさらに短い30分ほどで移動できます。
より便利な世の中になったものですね。

桜木町駅でしばらく待っていたら貨物列車が駅を通過していきました。


日本の鉄道が貨物を扱い始めたのは開業から約1年後でしたけれども
それ以来149年間、形を変えながらも日本の物流の一翼を担っています。

そしてその後、駅員さんたちがぞろぞろとプラットホームに上がってきました。
これはきっと特別な列車が来ると思い待っていたら、E655系電車「なごみ」を使用した列車がやってきました。

シャッターのタイミングが合っていないし、そもそもホームドアがあるのできれいに撮れるものではありませんけども
ホームドアの設置もまた、鉄道150年の歴史の一部ですね。

この列車はまさにこの鉄道150年の日を記念した列車で、
新橋駅を出発し桜木町駅で運転停車(乗客の乗降をしない停車)、更に東海道線を下っていく列車だったそうです。
桜木町駅で止まっていくのは、ここがまさに150年前の開業当時の終点である横浜駅だからですね。
列車の乗客たちは、電車の窓越しとはいえ駅員さんたちから熱烈な歓迎を受けていました。
(私は京浜東北・根岸線の電車で移動しましたが、この方々は同じルートを豪華な電車で移動したわけです。いいなあ……)

というわけで無事、鉄道開業150周年の記念すべき日に、当時の開業区間に極力近い区間、
2代目新橋駅から桜木町駅までを電車に乗って移動することができ、
最後には特別列車を見ていくことまでできました。
とても満足のいく記念乗車でした。

この国の鉄道はこれからどのような姿を見せてくれるのでしょうか。
ローカル線の経営の問題、少子高齢化の問題など、先の明るくない話題も目につきますが、
見守っていきたいと思います。

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